
欧州委員会が銀行融資における不動産の「持続可能な価値(sustainable value)」という概念を新たに導入したことにより、不動産鑑定士の間では大きな
話題となっています。 私自身は、ここ数年、不動産価値の再考とこの「持続可能な価値(sustainable value)」概念を導入することを訴えてきており、この第一歩を歓迎しています。
その理由は以下のとおりです:
- 1. 市場価値(market value)を決定するために従来用いられている方法が、不動産の品質に関して金融価値(financial value)と市場価値(market value)との間に不一致をもたらし、それを持続させていることが、研究者によって明らかにされています。
- 2. その結果、価格(Price)は、長期的に社会全体にとって望ましい投資に対する資本の流れに向かうことができなくなっています。この状況はアセットマネージャーにとっても耐え難いもので、彼らは利益最大化とESG投資の加速という2つの要求の間で板挟みになっています。
- 3. それゆえに、長期的に持続可能な価値を評価し、従来の市場価値の短期主義的なバイアスによるキャピタルロスのリスクを定量化できる新たな「価値」を導入することが不可欠です。
RQRは市場価値(market value)と持続可能な価値(sustainable value)を客観的に評価するツールを提供できる唯一の独立したプラットフォームです。
以下の理由から、私たちの評価する価値は持続可能であると言えます:
- 経済的・社会的・環境的な側面から社会全体の持続可能性に対する志向を組み込んだ「持続可能な開発(sustainable development)」アプローチにより評価が行われます。
- 持続可能性に対する志向は、取引の文脈を離れた学術的な市場調査によって明らかにされたもので、非常に客観的なものです。
新規制の主なポイント:
- 目的:銀行の資本要件の強化
- 実施日:2025年1月1日
- 欧州評価基準(EVS)によって定義された市場価値は、銀行評価において今後使用されません。
- 新しい価値の概念を導入し、その評価は保守的な評価基準に基づいて行わなければなりません。
- 評価は、現在の市場価格がローンの満期までの不動産の持続可能な価値を大幅に上回っている可能性を考慮に入れて調整されなければなりません。
- この調整は独立した主体によって行われる必要があります。